なぜベトナムはエマージング市場ではなくフロンティア市場なのか

エコノミストが「なぜグローバリストとフロンティア市場投資家はベトナムを愛するのか」(原題: Why globalists and frontier-market investors love Vietnam)というコラムを載せている。

ベトナムは新型コロナウイルス対策に成功し、堅調なFDIもあって2020年にプラスの経済成長が見込まれる数少ない国の一つとして考えられている。それだけでなくフロンティア市場投資家からも好まれており、その背景は何かという内容である。

MSCIなどの格付けでは、

  • Developed Markets(先進国市場)
  • Emerging Markets(エマージング市場)
  • Frontier Markets(フロンティア市場)

のように分けられていることが多い。フロンティア市場は、それ以下のLDC(後発開発途上国)に次いでリスクが高い市場である。ベトナムは多くの格付け機関でフロンティア市場となっているが、その中でもとりわけ人気のある市場である。

ベトナムは「ドイモイ」以降、積極的な外資誘致、最近はFTAの締結などで高成長を続けており、為替レートも安定しているという事で投資家に人気がある。

それでも何故「エマージング市場」ではなく「フロンティア市場」のままなのかと言えば、それは外国人保有比率の問題である。

基本的にベトナムでは外国人保有比率は49%以下しか認められておらず、銀行など重要業種に至っては30%以下となる。そうすると外国人投資家はベトナム株への投資がしにくくなり、人気のある銘柄だと他の外国人投資家から高いプレミアムを払って買い取らなければならない。高いものだと株価の50%以上のプレミアムがつくものもあるという。

逆に言えば、外国人保有比率の問題以外は、ベトナムは概ねエマージング市場の要件を満たしており(他に一部透明性などの問題はあるが)、「フロンティア市場」という格付けでありながら経済的に安定しているというところが人気の理由である。

参考資料:MSCI, “MSCI announces the results of the 2020 annual market classification review”

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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