WHOが「燃え尽き症候群」を国際疾病分類に採用へ

「ゲーム中毒」を疾病分類に採用すると話題になったWHOの国際疾病分類第11版(ICD-11)だが、同時に「燃え尽き症候群」が採用される事に決まった。

但し、日本でいう燃え尽き症候群とは意味が異なる。日本では入試や大きな大会などを終えた人が目標を失って虚脱感に襲われる事を燃え尽き症候群というケースが多いが、疾病としての「燃え尽き症候群」はこれとは異なる。

疾病分類としての燃え尽き症候群は、WHOの定義では「適切に管理されていない慢性的な職場ストレスに起因して構成される症候群」(筆者私訳)である。

定義は分かりにくいので、以下の症状の特徴3つを見るとわかりやすい。

  1. エネルギーの枯渇や極度の消耗の感情
  2. 仕事からの精神的距離の増加、又は仕事に関連する否定的ないしは冷笑的な感情
  3. 職業専門性の有効性の低下

要するに「仕事を頑張ったけど思う結果が得られず生じた徒労感など」を指す。日本の燃え尽き症候群と区別するためにバーンアウト症候群とも言う。医学的には「うつ病の一種」のようである。

WHOはあくまでも「職業から生じる精神的な状況を指す」ものであり、人生における他の分野において説明するのに使うべきではないと説明している。(要するに日本の燃え尽き症候群は典型的な誤用である。)

上の定義から見るバーンアウト症候群(燃え尽き症候群)に該当する人は潜在的に非常に多いのではないかと考えられる。

現時点では認知度が非常に低いと考えられ、ましてや「単なるやる気の欠如」として片付けられがちの問題である。しかし、この症状が蔓延している企業は体質として問題であり解決しなければならない問題であり、潜在的には企業的にも社会的にも大きなコストを抱えていることになる。

疾病としての燃え尽き症候群にはMaslach Burnout Inventoryという調査方法が提案されている。心理評価製品やサービスを手がけるmind gardenは、正規の調査を有償で手がけている。こちらは日本語版を含むライセンスが販売されている。

参考:mind garden, “Maslach Burnout Inventory”

自己診断としては、以下のMind Toolsがオンラインでの簡易チェック項目を提供している。但し、これは非公式なチェックリストであり、これで点数が高いからと言って、必ずしも医学的に燃え尽き症候群にかかっているとは言えない。また、調査はすべて英語である。

参考:MindTools, “Burnout Self-Test”(燃え尽き症候群セルフチェック)

また、日本版MBI-GSの提案も行われており、上記の調査項目が必ずしも日本人に適合するかどうか分からないという点も注意したい。(これは北岡(2011)などで概要が公開されているが、設問項目の全貌は分からない。)

参考文献:Channel NewsAsia, “WHO recognises burnout as medical condition”, 27 May 2019

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

HAL の記事一覧