Google Scholarと並んで有名なオープンな論文検索サイトと言えばSemantic Scholarである。そのSemantic Scholarを開発しているAllen Instituteがサプリメントと医薬品の相互作用を調べられるAI検索エンジンSUPP.AIを公開した。
参考:SUPP.AI
Semantict Scholarを介して医学系の論文検索エンジンPudMedから2,200万本の論文のアブストラクトを抽出し、BERTモデルを使って1,923のサプリメントと2,727の医薬品との55,946の相互作用が学習されている。学習についての論文はarXivに公開されている。
参考:Lucy Lu Wang et al., “Extracting evidence of supplement-drug interactions from literature”, arXiv, 17 Sep 2019, arXiv:1909.08135
以下のように検索画面で仮にvitamin(ビタミン)と入力してみると、vitaminを含むサプリメント(葉っぱのマーク)と医薬品(オレンジ色の丸)について、相互作用に関する研究が多い順に出てくる。787もの相互作用があるビタミンC(Vitamin C)を選んでみると、
ビタミンCとの相互作用についての論文が多い順に様々なサプリメントや医薬品が表示される。Filter interactionsで更に抽出もできる。物質名の横にカーソルを当てると、それがどのような物質かの説明も表示される。ここではIron, Dietaryを選んだ。いわゆる鉄分(Iron)だけでなく食事(Dietary)に含まれる鉄分との相互作用に関する情報らしい。
+のマークで開いてみると、ビタミンCと鉄分との相互作用について、112ある両者の相互作用にるいての研究のうち、重要性の高い論文から順に、要約、タイトル、論文誌、掲載年、論文へのリンクが表示される。ここで重要性はSemantic Scholarのアルゴリズムにより、被引用数やインパクトファクターに基づく重要性の順である。
要約を眺めてみると、ビタミンC(アスコルビン酸)が鉄分の吸収力を高めるなどといった論文が出てくる。
一般的な成分の名称で検索できるので、簡単な単語さえ分かれば検索できるというのは便利である。サプリメントなどの飲み合わせだけでなく、食事における食べ合わせなど有用性は高い。
それ以上にBERTモデル(単語の一部をマスクすることによって文と文の間の関係性を学習しやすくする自然言語処理モデル)の活用例として面白い。