超高学歴社会米国の影で進むAI分野におけるパープルカラー労働者

学資ローン問題の背景に「高騰する学費」と「学歴社会」であることがあり、その解決策として大学学費無償化といった議論がある。

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一方で人工知能(AI)分野においては真逆の動きもある。それが今回紹介するパープルカラー労働者だ。

いわゆるホワイトカラー労働者でもブルーカラー労働者でもない労働者として、パープルカラー労働者という概念が米国ではある。主に情報通信業における熟練労働者を指している。日本で言えば「IT土方」という用語が近いが、もう少し良い意味合いである。

Urban Dictionaryによると大麻の花が紫色であることを理由に「大麻を売って生活する人」として使われていたようであり、 (英語圏的な感覚として)ホワイトカラーとブルーカラーの中間としてグレーカラー労働者と呼ばれることもある。

このパープルカラーもしくはグレーカラー労働者はITの推進で増えているが、最近は特に機械学習の分野で増えている。

今はTensorflowなど機械学習ライブラリの発達により、新しい機械学習モデルを作ったり、人工知能研究を行ったりするのではなく、単に既存のモデルのパラメータ(学習率など)を変えて適用するだけであれば、基本的な統計とPythonプログラミングのスキルがあれば事足りる。

そこで高卒を採用し、2つのスキルを叩き込んで機械学習ができる人材を育成しようとする動きが米国で増えている。大卒や大学院卒となると、ありふれた機械学習エンジニアとしては給与が高すぎるからだ。

機械学習ライブラリを使った機械学習においては、新しいモデルを考えたりといったアイデアよりも、

  • データ整形(異常値の取扱、正規化など)
  • パラメータチューニング

といった地道な作業に時間がかかる。こうした作業はある種の「職人芸」と言えるようなものがあり、まさにホワイトカラーとブルーカラーの間と呼ぶに相応しい。

もっとも、機械学習の本質的な理論や数学的スキルをもたなくてもできる仕事は、現在はニーズが多いが、将来的には激減すると思われる。機械学習分野においても、簡単な仕事から自動化されていくからだ。

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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