コロナ禍で強い飲食店は脱サラのラーメン屋

今始めれば良いという話ではない。新型コロナウイルスに伴う休業で生き延びる確率が高い飲食店が、典型的な「脱サラで初めたラーメン屋」であるという話である。

飲食店が休業するとすぐに経営が行き詰まりやすいのは手元流動性の少なさである。現金会計が比較的多いので営業が順調であれば、すぐにキャッシュが入ってくるが故に、普段は多くの現金を置いていない店が少なくないからだ。

いざ休業しても支払いは止まらない。正社員であれば従業員の給与は勿論、店舗を借りていれば家賃が発生する。キャッシュフローが何よりも大事と言っても過言ではないのは投資家としては常識かもしれないが、世の中の飲食店経営者全てがそれを理解しているわけではない。

一方で、よくある「脱サラして持ち家を改装して始めたラーメン屋」のような手軽なアントレプレナーは、そもそも持ち家なので(ローンが残っていなければ)家賃はかからない。ラーメン屋(別にカレー屋でも何でも良いが)を始めるくらいの改装であれば初期投資はそれほど多くないし、家族経営であって従業員を別に雇わないというケースが多い。

こうした脱サララーメン屋も休業すれば、当然売上はゼロになるが、休業していても発生する支払いは、店舗を借りたり人を雇ったりしている店に比べれば遥かに少ない。

家賃や給与支払いが無いのであれば、自身の生活費さえ何とかすれば良いのだ。当面の蓄えがあるならそれで何とかなるだろうし、所在地や条件によっては自治体の休業協力金をもらえた店舗も少なくないだろう。休業中だけ別のアルバイトなどで何とか生活費をしのぐという方法だってある。

緊急事態宣言の延長で、更に店舗を畳む飲食店は多く出てくるだろう。しかし、家族経営の脱サララーメン屋は経済活動が再開されれば正常な経営状況に戻ってくる可能性は高いだろう。

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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