今ベトナム中部のダナンはまさにバブルと言えるような開発ラッシュで、日本からの観光客もこれからどんどん増えていくと思われる。先日もベトジェットエアが羽田ーダナン線の就航を発表するなど、日本からも行きやすくなってきている。
参考:トラベルWatch「ベトジェットエア、成田~ホーチミン線/羽田~ダナン線就航を発表」2019年7月1日
海外からの観光客も溢れているダナンであるが、国内からの旅行先としても人気があるようだ。そして一方で観光都市としての成長速度以上に開発が進んでしまっている状況もある。
ベトナム人に最も人気のある2019年夏の旅行先としてダナンが選ばれる(Vietnam net)
- オンライン旅行予約プラットフォームagodaがベトナム人旅行者に人気の旅行先トップ10を発表
- タイ・バンコクを破ってベトナム・ダナンが1位となった
- ベトナムは韓国、タイ、日本、シンガポールからの外国人旅行者の旅行先としても人気
- 一般統計局(GSO)によると、2019年上半期で850万人(前年比7.5%増)がベトナムを訪問
ダナン:ホテル建設ラッシュで飽和状態、稼働率は僅か50% (ベトジョー)
- 6月末でダナンの宿泊施設数は前年同期比100箇所増の820施設、客室数は5,901室増の37,432室
- 650施設(79.2%)は1~3つ星で、4~5つ星は80施設のみ。残りはビラやアパートメントホテルなど
- 建設ラッシュでホテルが供給過剰(全体で稼働率50%、4~5つ星でも60%ほど)
- ホテルからの廃棄物による環境汚染、交通渋滞、ライフライン整備、消防対策などが追いついていない
- フラマリゾートのビン社長は、「高級宿泊施設建設へのシフト」と「旅行者数の見通し発表によるホテル事業投資検討者への情報提供」が必要と指摘
補足
かなり急ピッチで開発が進んでいる印象であったが、今のところは過剰投資であることが分かる。
ダナンは観光客で溢れているが、筆者の感覚では最も多い客層は、
- 白人バックパッカー
- 韓国人
- 中国人
である。筆者のような日本人はまだまだ少ない印象で、日系企業もハノイやホーチミンには多いが、中部ではまだまだ少ない。
上記の顔ぶれを見て分かる通り、特に前者2つはホテルにあまり金をかけない。これは日本に来る韓国人も同様で、下図を見て分かる通り1人当たり旅行支出は他国と比べて圧倒的に少ない。
中国人は旅行支出自体は多いが、主に「買い物」がメインであり、宿泊にはあまり多く金をかけない傾向がある。
欧米人はホテルに多くお金をかける傾向があり、ダナンでも高級リゾートホテルに宿泊する人は多く見られるが、バックパッカーはもちろん安宿にしか泊まらない。
こうした理由もあって、ダナンは現時点でリーズナブルなホテルが中心に建設されていて、いわゆる高級ホテルはリゾート地と言いながら数が少ない。
しかも、その開発が急激に進み過ぎて供給過剰になっているのがポイントである。無論、日本とダナンの直行便など今後更に観光客が増えていくことで改善されていく可能性も高いが、しばらくホテル投資に暗い面が見えてきているというのも現状である。
参考文献
Vietnam net, “Da Nang tops Vietnamese tourists’ popular destinations in 2019 summer”, 4 Jul 2019
ベトジョー「ダナン:ホテル建設ラッシュで飽和状態、稼働率は僅か50%」2019年7月3日