完全なキャッシュレス社会の恐怖

煽るようなタイトルで申し訳ないが、筆者自身は紙幣や硬貨は煩雑で面倒なので、あらゆる場面で電子決済だけで事足りるようにしてほしいと思っているタイプだ。(私はコンビニでジュース1本買うのにもクレジットカードを使う人である。)

デンマークは2030年までに紙幣・硬貨を廃止し、完全なキャッシュレス社会が実現する事になっているが、そうすることで通貨の発行・管理コストや偽造リスクが無くなるだけでなく、マネーロンダリングがやりにくくなり、税金の捕捉もしやすいなどメリットがある。

残念ながら現金主義の日本では、今のところそのような未来は生きている間に実現するようには思えないが、ヨーロッパでは現実的となっているリスクがある。これはブロックチェーンなどを利用した完全な捕捉とも関連している。

それが、The American Dream Lostなどの著者であるTom Chathamが論じた、完全な電子決済システムに移行した場合のリスクである。

その内容を一言で言えば「政府によって国民が買えるものをコントロールできる」というものである。これは、銃や弾薬など違法なものの所有を防げるという点で良い点もあるが、Chatham氏のようなリバタリアンから見れば問題の方が多いようだ。

記事では、将来の厳格な通貨システムから解放される(個人による金融システムのリセットを行う)には、1000年前から自由市場での交換手段および価値の貯蔵手段として役立ってきた金や銀を使うということである。

米ドル自体は広く信用されている通貨であるが、1913年以来97%以上は切り下げられており、この100年間においても金と銀の価値は非常に重要であったことが強調されている。

筆者は通貨システムや銀行システムから解放されたいとは思わないが、少なくとも人類史においては普遍的とも言える価値を持つ金や銀が今後も有効であり続け、完全なキャッシュレス社会においてはより重要かもしれないと解釈すれば非常に興味深い。

参考文献

Project Chesapeake, “How Individuals Can Reset The Financial System”

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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