要約
- クーデター以来、タイの政治リスクが国内経済に顕著に現れている
- 経済成長率にはASEAN-5の他の国とで明確に差がある
- それでも経済成長が安定してきているのはバーツ高による低インフレ低金利の影響が大きい
選挙が情勢をかき乱すようにタイ経済に政治の影響が現れています(Bloomberg)
- 政治的緊張がタイの投資や消費に悪影響を与えるリスクが懸念される
- タイの経済成長率はASEAN-5の他の国よりも緩やか
- クーデターは明確に国内消費と外国直接投資を押し下げた
- バーツ高が物価上昇圧力を弱め、金利も安定している
解説
タイの選挙情勢が複雑でその動向に注目が集まっていることは以前書いたが、クーデターから現在までの政治的状況がタイにどれほどの悪影響を与えているかが直感的に分かるグラフが掲載されていた。
2014年がクーデターの年であり、大きく落ち込んだタイの経済成長率は、徐々に回復傾向にあるが、それでもASEAN-5(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)の平均には及ばない。これは、以下のように国別で見ても同様の傾向があり、マレーシアは原油安による成長鈍化と政権交代で成長率が不安定だが、いずれにせよ4ヶ国が高い成長率が続いている。
これは記事にも書かれている「個人消費の低下」や「外国直接投資の減少」などに大きく寄与しており、世界的な景気減速も影響し、2019年のIMF予想は更に「成長率ギャップ」が生じるという。
一方で救いとなっているのがバーツ高で、原油安や海外旅行客、米中貿易戦争に伴うドル安などで低インフレ・低金利で収まっている。
参考文献
Bloomberg, “Politics Looms Over Thai Economy as Election Stirs Tension”