タイ・エネルギー省から提案されていた電気代補助が火曜日に閣議決定された。元気料金削減・免除置は、自宅待機が導入された3月に遡って適用され、5月分まで236.8億バーツ(約7.3億ドル)の公的支出がされる見込みである。
Bangkok Post, “Power bill cut for 22m houses”, 21 Apr 2020
タイの電気料金は契約アンペア数や消費電力だけでなく、所得による割引・免除や物件形態による付加措置など段階的な体系となっている。今回の措置は、契約アンペア数と消費電力に基づき、電気料金の30%免除、50%免除、100%免除(無料)を伴うものだ。元々無料枠は存在するが、今回の措置でタイの2,200万世帯のうち最大1,000万世帯が無料枠の恩恵を受けることになる。
電気代補助政策はロックダウンに伴う生活支援(収入源によるキャッシュフロー補助)の意味合いもあるが、最も重視されているのは在宅勤務に伴う電気代増加に対応するためである。タイの電気料金は基本料金は無料枠を含んで非常に安いが、気候の問題で在宅時間が増えるとエアコンの利用で電気代が跳ね上がる。エアコンに加えリモートワークに伴うコンピュータの利用などで電気代が2~3倍に跳ね上がったという例も多数報告されている。
Bangkok Post, “Surging power bills spark anger”, 20 Apr 2020
そもそも、リモートワークを「コスト削減手段」の一つとして捉えている企業が多い。交通費などは勿論そうなのだが、電気代や(定額制でなければ)通信料金、在宅勤務に必要な備品などが労働者の自己負担となっている場合は少なくない。電気代などのコストについて補助する企業もあるが、日本でも以下のように「企業がリモートワークで削減できるコスト」の中に消耗品や光熱費などを含める記事も多く見つかる。
実は、リモートワークの導入は、コスト削減効果も期待することが可能です。
チャット・Webシステムを活用し、在宅やサテライトオフィスでのリモートワークを導入することで、削減できる主なコストは以下の6つです。
・交通費
・地代家賃
・消耗品費
・什器・備品費
・光熱費
・印刷代(紙代、カウンター料等)
Learner Mag.「リモートワークはコスト削減にも有効?今こそ抑えておきたいポイントを徹底紹介」
日本では1人10万円の現金給付という形に落ち着くまでに紆余曲折があったが、新型コロナウイルスに伴う自宅待機や在宅勤務などの影響を効果的に吸収する意味合いでは、タイのように電気代補助という選択肢もあったのではないかと今更ながら思える。