アフリカ連合(AU)の相互審査システムであるアフリカン・ピア・レビュー・メカニズム(APRM)のコンサルタントであるミシェック・ミュータイズ氏(ケープタウン大学大学院財政学講師)が、The Conversationで興味深い指摘をしている。
アフリカ諸国の信用格付けは過小評価されており、それほど多くの政府債務を抱えていないが過大な金利を支払っているという。
カーボベルデ、ジブチ、コンゴ、モザンビークを除けば、他の全てのアフリカ諸国の政府債務対GDP比率は平均60%であり、これはIMFなどが定める適正な債務水準の閾値のレベルである。そして、一方でアフリカ大陸における年間債務発行は大陸の年間GDPの1%に過ぎず、GDPの年平均成長率4%を大きく下回っている。それにも関わらずアフリカ諸国は10年国際に5~16%と高い金利を支払っている。
金利が高いのは大半のアフリカ諸国の信用格付けが投資不適格(ジャンク)となっているからだが、ミュータイズ氏は信用格付けの仕方に問題があると指摘する。
一般に経済状況と信用格けには高い正の相関があるが、アフリカ諸国では信用格付けの向上につながっていない。特にアフリカ32ヶ国においては、平均3.6%の一貫した経済成長率を記録しているにも関わらず、格付けの見通しはネガティブの数がポジティブの数の2倍となっており、近年の著しい政治・経済の進歩が反映されていないという。
特に、1960年の独立以来、アフリカで最も政治的に安定しているとされるセネガルも、過去10年間で年平均6%の経済成長を維持しているがジャンク評価のままである。
但し、こうした過小評価にはアフリカ諸国の政府にも問題があると指摘する。例えばユーロ債の目論見書における「プロジェクトの利益の用途」などに関する記述が不十分であるなど、情報の透明性に欠ける問題がある。国際的なガイドラインを採用した透明性の高い債券発行プロセスや科学的な評価プロセスの確立が必要とされている。