当サイトでも何度も伝えているように、軟調なコーヒー価格が続いている。AFPがまとめたところによると、軟調な価格の背景にはコーヒーの主要産地であるブラジルでの豊作があり、2017年から40%下落し、歴史的に低い価格水準にある。
それでもブラジルなどで主に生産されているアラビカ種の価格は反発の傾向が見られるのに対し、ベトナムで主に生産されているロブスタ種の価格はまだ底打ちしたかは怪しい。
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この背景には、気候変動などに対処することが必要になっているにも関わらず価格が低いため生産者が大きな打撃を受けており、中南米でも生産が難しいアラビカ種の生産を諦め、丈夫なロブスタ種を生産する動きが出ていることにある。(ロブスタ種の語源はrobust<丈夫な>である。)
完全にロブスタ種にシフトすれば供給量が安定するが、コロンビアやグアテマラなど生産コストが高い地域では今後コーヒー生産量が減ると予測されており、最近のコーヒー価格の変化に現れている。
但し、コーヒー需要自体は過去10年間で年平均2.1%で増えており、毎日20億杯のコーヒーが飲まれているという。
ベトナムのロブスタコーヒーに注目する筆者としては、
- 気候変動によるアラビカ種生産の困難化
- 環境変化に強いロブスタ種生産へのシフト
- ロブスタ種供給の世界的な増加
- ロブスタ種(に慣れることによる)の一般化
という長期的なシナリオを想定している。世界中で飲まれるようになれば、ロブスタ種のスペシャルティコーヒーの開発も進むと思われ、現在の安物コーヒーのイメージの払拭に役立つと考えている。
参考文献:Channel NewsAsia, “The coffee conundrum: Consumption is up but trade prices are low”, 13 Nov 2019