米国の中小企業経営者は非常に楽観的な見通し

ウェルズ・ファーゴとギャラップによるSmall Business Indexの最新版(2019Q4)が発表された。これは、米国の中小企業経営者に対し、「自身の事業の現在の状況に対する評価(橙色)」と「今後12ヶ月間の見通し(青色)」を12の質問(財務状況、収益、キャッシュフロー、雇用数、与信など)からスコア化したものである。

以下の図を見てわかる通り、2019年第4四半期は、現在の状況が75、将来の見通しが67といずれも歴代で最高の楽観性を示している。

2003~2019年のSmall Business Index
出典:Q4 2019 Small Business Index Survey Results

2018年末の景気後退懸念から2019年第1四半期には一度やや悲観的な状況に陥ったが、それを除けば継続的に中小企業経営者の状況は好転し続けていると言える。米中関係の改善期待や国内景気指標などから、予想よりも経済状況が良いと評価されているのが最近のマーケットの状況であるが、それとも整合的である。

筆者はかねてより2020年の大統領選挙までは「耐えきる」という予想をしているが、この指数からもう少し何らかの意味を見出したい。

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一つは、グラフ中で濃い赤色・青色で示している2007年第4四半期が、前回米国でリセッション入りした時期(2007年12月)だが、その前の2007年第3四半期の調査時点で下落を示していることである。

2019年第1四半期の例があるので、中小企業経営者の景気後退懸念が高まれば即リセッションに繋がるとは言えないが、やはり注視すべき数値の一つであるとは言えるだろう。

もう一つは、2009年第1四半期のように初めて将来の見通しがマイナスを示した時点でダウ平均株価は底打ちしていたという事実である。株価のピークとリセッションのタイミングにズレがあるように、株価の底と景気の底にもズレがある。そのズレを捉える指標の一つとして有効であるかもしれない。

筆者は寧ろ後者の方を重視しており、次のリセッション入りの時に参考にしたいと考えている。

参考文献[1]:Wells Fargo Works, “Q4 2019 Small Business Index Survey Results”, 5 Nov 2019

参考文献[2]:Gallup, “How Does the Wells Fargo/Gallup Small Business Index Work?”

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