メディカルハブ政策管理委員会が、医療ツーリズム(医療観光)のために入国する日米の国民にノービザで90日間の滞在を認める事を提案した、とバンコク・ポストが報じた。
これはタイの副首相兼保健大臣アヌティン・チャーンウィーラクーン氏が明らかにした内容で、医療ツーリズムのハブを目指すタイが、日本・米国からの医療ツーリズムを増加させるための提案である。
現在は日本からノービザでタイに滞在できるのは30日間(延長すれば60日間)だが、医療目的での滞在に限ってノービザでの滞在期間を延長するというものである。バックパッカーなどは一度隣国に渡って再入国して延々と滞在するという悪用もあったが、最近は規制が厳しくなってきており、ノービザでの長期滞在が難しくなっていた。
既に中国やカンボジア、ラオス、マレーシア、ベトナムなど11ヶ国からの医療ツーリズム客には90日間のビザなし入国を認めており、日米への規制緩和を進める可能性は十分にある。
タイは以前から医療ツーリズムで有名であり、2018年は約280億バーツ(約987億円)の収入をもたらしている。代理出産不妊治療、性的適合手術だけでなく、今年に入って医療用大麻が解禁されるなど、ますます注目が高まっている。
ジェトロによると、日本から医療・介護機器市場に進出する企業も多く、タイ最大の医療企業BDMSグループ傘下のサミティベート病院が日本人専門病棟をオープンさせるなど期待も高い。
タイ全体としては、高齢化が進んできており、ベトナムなどと同様に食生活の変化に伴う生活習慣病患者の増加など医療市場が拡大する要因は多い。
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参考文献[1]:Bangkok Post, “90-day visas floated for medical tourists”, 27 Sep 2019
参考文献[2]:ジェトロ「拡大が期待されるタイの医療・介護機器市場」2019年8月30日