米中貿易戦争の激化や米国における長短金利の逆転(逆イールド化)の再出現などで8月14日には米国株式市場が800ドル安を示すなど、世界経済後退懸念が「再び」強まっている。
逆イールドカーブについては、前回3月に出現した際に何度か論じている。以下の記事は、逆イールドカーブが出現すると「18ヶ月以内にリセッション入りする傾向」について、それ自体が景気後退を促すのではなく、あくまでも「景気後退しやすい状態」になっていることを示している。
関連記事:逆イールドカーブは本当に景気後退を予測するものではない
逆イールドカーブが「再び」出現すると「18ヶ月以内」のカウントはリセットされるのか継続されるのかは不明だが、依然として危うい状況が続いていることには変わりがない。
筆者としては、どちらかと言えばリセットされるような気がしている。そもそも「18ヶ月以内」という仮説も正確には「6-18ヶ月以内」なので、どちらとも取ることができ、適当なものである。
よって、このままマーケットが崩れるかと言われれば、筆者はその考えには反対である。歴史的に逆イールドカーブと景気後退入りにラグがあるのは、ラグ(バブルが継続する期間)が存在するからである。
関連記事:逆イールドカーブが株価上昇の合図?
今の状況がバブルであるかは定義次第であるが、レバレッジド・ローン問題などマーケットに多くの歪みは存在する。ダウ平均株価のPERも19を切ったが、決して割安とは言えまい。
関連記事:レバレッジド・ローン周りの楽観論と悲観論
それでも悲観的すぎると言えるのは、CNNのFear & Greed Indexが一時19にまで達したからである。(2019年8月16日終値時点で20)
2018年は10を下回るケースは続いたが、それ以前はそうでないケースも多く、20を切るというのは一つの目安と言える。