10日土曜日、インドの石油天然ガス省の主導で国営石油販売会社3社(インディアン・オイル、バーラト・ペトロナム、ヒンドゥスタン石油)通称”the OMCs”が使用済み食用油(サラダ油)から製造されたバイオディーゼルを調達するプログラムを全国100都市で開始した。
これは廃食用油からバイオ燃料を生産するプラントを建設する民間企業を増やすことを目的としており、1年目は51ルピー/リットル、2年目は52.7ルピー、3年目は54.5ルピーの保証レートでthe OMCsが調達する。
政府は同時に”Repurpose Used Cooking Oil (RUCO)”(使用済み調理油の再利用)というステッカーを作成し、 廃食用油の供給意思のあるエリア内の食料品店やホテル、飲食店などが掲示できるようにしている。専用のスマートフォンアプリも開発された。
一連のプログラムは、2015年に定められた「2030年までにバイオ燃料ブレンドガソリンの割合を20%にする」という目標達成のために行われている。目標達成当初は1.5%だったが現時点で7-8%まで上昇している。
1年目の買取価格1リットル当たり51ルピー(0.72ドル)というのは、インドのガソリン販売価格1.07ドル(2019年8月)を下回る価格であり、かなりの競争力を求められる水準である。
ビジネスモデルとしては、生産プラントはホテルなどから安く廃食用油を引き取れる代わりに、ホテルなどは産廃コストを抑えられるという仕組みである。
インド食品安全基準局(FSSAI)の指導により、回収の条件は下記のようになっている。
- 食用油の消費量が1日50リットル以上の食品事業者
- 3回以上利用された廃食用油
ある程度の規模を担保し、バイオディーゼル製造の為に新しい食用油を供給させるという本末転倒な自体を防ぐという基準であると見られる。
FSSAIは同プログラムについてかなり慎重な見方をしており、
- 加盟事業者による食用油の利用記録(アプリの利用)とデータの追跡
- 記録に基づき定期的な回収
を徹底するように指導している。これは、「バイオディーゼル用に回収された廃食用油が再び食用に転用されること」を阻止するためである。
また、食用油が新鮮であるかの確認についてはカラーチャートを利用し、廃食用油の色を提出させる方針となっている。(古くなると酸化して色が濃くなる。)
このように、食用油を産業用に転用することには食品安全などにおいて大きな問題もあるが、取組みとしては非常に面白い。どこまで運用がしっかりとするかは疑問であるが。