日本では太陽光発電バブルの崩壊に続いて追い討ちをかけるような再生可能エネルギーの固定買取制度の廃止の流れなど撤退の流れが続いているが、海外を見てみるとそうではない国も多く、ベトナムはこれから太陽光発電ブームという状況だ。
先月5月に出光グループは、年間発電量約7.8万MWhを見込むメガソーラーがベトナム南部カインホア省で完工している。同社は日米では多くの太陽光発電事業を手がけているが、東南アジアでの展開は初めてで、その最初がベトナムという形である。
6月に入ってからは、ベトナムのバンブーキャピタルと ステートキャピタルインベストメントコーポレーション 、オマーンの国家総合準備基金による合弁会社が手掛けた太陽光発電所(南部ロンアン省)が開設されている。これは年間発電量5.7万MWhが見込まれ、ベトナムの22,000世帯の消費電力に相当する。
つい先日では、ベトナムのTTCグループとタイのガルフグループにより、南部タイニンなど2箇所に太陽光発電所を開設している。
例を挙げれば枚挙に暇がないが、こうした太陽光発電所建設ラッシュが続く背景には、2015年に承認された「2030年までの再生可能エネルギー開発戦略」により様々なインセンティブがつけられているからだ。
GDP成長率が高く今後も旺盛な電力需要が増えていく中、福島原発事故を受けて開発が中止されたニントゥアン原子力発電所の影響など、電力需要を賄うだけでなく、エネルギー安全保障を高めるといった目的もある。勿論、今後先進国を目指す過程で再生可能エネルギー比率を高めるというイメージ的な意味合いもある。
国家の電力開発計画では太陽光発電は、2030年までに 1,300億MWの発電容量が必要だが、現時点で470億MWであり、800億MW以上の発電能力を確保するための開発を続けていく必要がある。
送電や配電インフラの不足といった課題もあるが、今後しばらくは太陽光発電ビジネスが成長すると考えられる。
参考文献
日経XTECH「ベトナムで49.5MWのメガソーラー完工、出光グループ」2019年5月29日
Vietnam+, “Growth demand fuels solar power boom in Vietnam”, 26 Jun 2019