本庶氏と小野薬品の争いに見える本質的問題

オプジーボの対価を巡り、本庶氏は小野薬品への批判を強めている。

この問題では、本庶氏が画期的ながん治療薬のオプジーボに対しての対価引き上げを共同開発先の小野薬品に対して求めているもの。

実はこの問題、日本が抱えているある問題を如実に表しているのである。

新聞各社の記事を見てみると以下のような記載がある。

本庶氏は取り分について、オプジーボによる小野薬品の売り上げや他社からのライセンス収入などが1%以下になっていたことを公表。代理人弁護士は「常識的なレベルではない」と批判した。

日本経済新聞 2019/4/10記事より

会見に同席した弁護士によると、本庶氏は当時、契約内容を十分に確認する時間がなく、特許に関する知識もなかったという。本庶氏は契約について「弁護士を付ければ良かったが、とにかく研究が忙しかった。特許に詳しい人脈がなく、大学も助けてくれなかった」と悔やんだ。

毎日新聞 2019/4/10記事より

これらが示す非常に重要な点は、契約が既に結ばれているということだ。

この件で、非常に残念である点は本庶氏が契約の重要性を軽視してしまったことであろう。

本来、契約とは慎重に両社の意見を詰めていき、双方の合意をもって締結されるものである。

日本経済新聞の記事を見る限り、当初は大学に頼ろうとしたが、十分な仕組みがなくフォローを受けられなかったため、個人で契約した経緯があるとの記載がある。

産学連携が叫ばれている中で、大学側も研究面だけではなくビジネス面でしっかりとフォローできるような体制を構築していくことが重要である。

参考文献

本庶氏、小野薬品を改めて批判 オプジーボ対価巡り~日本経済新聞 2019/4/10~

共同開発の小野薬品への失望隠さず 本庶氏・オプジーボ特許使用料で会見

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SlofiAでは金融・財務分析関係を専門に執筆。元銀行出身。現在は上場企業の経理を担当。

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