Vietnam netが2018年に大きく成長した「ベトナムで最も有名なスタートアップ10社」をリストアップした。記事での説明を参考にしつつ、筆者なりの調査や情報を元に各企業について、2回に分けて説明していく。
1.MoMo
MoMoはベトナムにおけるモバイル決済の先駆者である。四大会計事務所KPMGによる2018 Fintech 100にもベトナムから唯一リストアップされたのがこの企業で、現在1,000万人を超えるユーザーを抱えている有望企業である。
solidiance(2018)によるとベトナムの銀行口座保有率は59%とまだ低く、そこに目をつけて2007年に登場したMoMoは、今やベトナムで重要な電子決済ツールとなっている。
Global Digital Report 2019では、ベトナムのモバイルウォレットの利用率は39%(日本は17%)、暗号通貨の保有率は9.3%(日本は4.3%)と高く、口座維持手数料などの問題から銀行以外の価値保有手段として広がり、更に今は金融機関との連携が進んでいるという意味ではアフリカと状況が非常によく似ている。
2.Vexere
Vexereはベトナム最大のバスチケット発見プラットフォームで、2017年には1日に15万枚のペースで同サイトを通してチケットが販売されている。サイバーエージェント・ベンチャーズからも出資を受けている。
ベトナムのように経済成長が著しい国では、ビジネス・旅行を問わず移動の需要が増えてくる。但し、鉄道網はまだまだ未発達で、路線も少なく、長距離路線だと時間も非常にかかるので、安価なバスは重要な移動手段である。
複数のバス会社のチケットを統一的なプラットフォームで購入できる点で同社のサイトは非常に人気があり、2000以上のバス会社と5000以上のルートを扱うまでに至っている。
3.Juno
Junoは2005年に設立された女性向け靴のブランドである。それまではベトナムの靴といえば、「有名ブランドの製造下請け」か「安価な輸出用靴」が殆どであったが、自国のブランドを育てようという発想で設立され、製造から販売まで一貫して行うのが特徴である。
当初はECサイトと4店舗のみで展開され、2015年時点でも実店舗は5つしかなかったが、投資ファンドSeedComの出資を受け、現在は84店舗まで拡大している。
創業当時の資金の少なさから、伝統的な広告媒体ではなくSNSなどでのプロモーションを重視し、デザイン・製造・輸出入・従業員・顧客などあらゆる分野の管理においてITによる自動化を徹底することで少ない従業員で運用できていることが強みである。(vietnam biz)
4. haravan
haravanはeコマースのワンストップソリューションを提供する企業である。ベトナム資本でこの種のビジネスを手掛ける企業は数少ないが、ベトナムでのeコマース市場は年35%のペースで成長しており、2020年までに100億ドル規模に達すると予想されており、今後の成長期待も高い。
中小企業だけでなく、大手企業ではintelやAEON、VINAMILKなども同社のシステムを利用しており、20,000以上のブランドを扱っている。こちらも前述のJuno同様にSeedCom傘下に入っている。
5. JobHop
JobHopは2016年に設立された求人情報サイトである。ベトナムでは元からVietnamworksや、ASEANで広く展開するJobStreetなど古参の求人情報サイトが存在するが、これらの「伝統的な就職活動と採用活動」が非常に時間とコストがかかる点が問題であった。特に経済成長に伴い人手不足が問題となっているベトナムでは、マッチングプロセスを効率化することが求められていた。
そこで登場したのがJobHopで、機械学習に基づいたスクリーニングソリューションを提供することで、求職プロセスが合理化され、今やマクドナルドといった多国籍企業や、ベトナムの不動産コングロマリットVinGroupなど大手企業もパートナーとして参加するまでに急成長している。
他にも応募者追跡システム(ATS)により、求人企業が候補者を属性別に検索してアプローチをかけたり、過去に応募してきた候補者が最終的に採用プロセスのどの段階まで進んだかなどの統計的な追跡など企業の採用プロセスを合理化する仕組みも評価されている。
参考文献
Vietnam net, “Vietnam’s 10 best-known startups”
solidiance(2018), “Unlocking Vietnam’s Fintech Growth Potential”
vietnam biz, “CEO Juno – Nguyễn Quốc Tuấn: Chúng tôi dịch chuyển theo nhu cầu của khách hàngS