ウーバーの問題はネットオークションの黎明期と似ている

先日、米ウーバー・テクノロジーズ(Uber)が2017年に続きロンドンで2度目となる営業許可の取消が行われた。「未承認運転手が他の運転手のアカウントに自分の写真を貼り付けてなりすます」ことや「解雇・停職処分が下った運転手がウーバーのアカウントを作り直せる」ことなどによる安全面の懸念が理由である。

参考:ブルームバーグ「ウーバー、ロンドン交通当局が営業免許を再び取り消し-安全面で懸念」2019年11月25日

筆者の見方は、この種の発展途上の技術・サービスにはありがちな問題であり、ネットオークションの黎明期に発生した問題とよく似ているように思える。今の時代で言えばフリマアプリでも同様の問題は発生している。

ネットオークションにの黎明期には、よく安全面の懸念が指摘された。詐欺行為などトラブルに見舞われるケースは多く報道されたし、当時特にインターネットを敵視していたマスコミは批判的な報道を重ねていたように思える。

確かに個人対個人の取引ではトラブルの可能性をよく考えなければならず、実際にトラブルに遭った場合に泣き寝入りしなければならないケースもある。しかし、そのために存在するのが評価システムであり、システムが巧く機能すれば悪質な出品者は市場から淘汰される可能性が高くなる。

もっとも、ネットオークション黎明期にも今のウーバーと同様にトラブルで悪評価が蓄積すると「新たにアカウントを作り直す」といったユーザーは少なからずいた。また、「少額取引で信用を蓄積して、大きな取引で詐欺を行う」といったケースもあった。

そうしたユーザーは今もいるのだが、今はサービスとしての成熟とともにユーザーのリテラシーの成熟により、大きく問題視されることは無くなった。

例えば、

  • 評価の悪いユーザーは避ける
  • 取引の少ないユーザーは避ける
  • 商品自体の仕様や文章、市場価格や他の出品などをよく比較する

といった細かなリテラシーの蓄積が今のネットオークションを支えている。

こうしたサービスには、サービス提供側が不正行為を減らすための仕組みを作っていくことも当然重要だが、ユーザーにもリテラシーが求められる

ウーバーも同じで、個々のユーザーがリスクを正しく評価して利用することが求められるし、また、全くリスクを許容できないのであれば利用すべきではないサービスとも言える。

リスク評価については日本と既にウーバーによる配車が多く走っている海外では温度差がある。ロンドンのようにあまりに問題が多いと営業許可取消といった処分が行われているが、それでもだからと言って「ウーバーは危険だから乗らない」という人は少ないようである。

そもそも海外ではタクシーが安全な乗り物というイメージ自体が無い。見知らぬ他人に車を運転してもらう事自体はタクシーもウーバーも変わらず、治安が悪い場所であれば「評価システムがあるのだからウーバーの方が信用できる」と考える人も多い。(この辺りはQuoraなどでも活発な議論が行われており、意見は分かれている。)

一方で日本は、既存のタクシー会社の既得権益であることもあり、タクシーサービスとしてのウーバーには大反対しており、当面規制緩和されそうもない。また、日本のタクシーは確かに諸外国に比べれば遥かに安全と言え、価格面を除けば積極的に規制緩和するかは疑問を持つ人が多いのは理解できる。

それでも、その感覚は国内外では異なるという意識を持ち、また、ウーバーのようなビジネスモデルはまだまだ未成熟であることなども考慮して状況を注視すべきであろう。

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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