メッセージングアプリTelegram(テレグラム)が香港での抗議運動者のために本領発揮

Telegram(テレグラム)というメッセージングアプリを使っている人は日本では少ないが、通信の秘匿、特に検閲を恐れている人の間では非常に重宝されている。

世界的にはWhatsAppとFacebook Messengerであるが、中東やアフリカ、旧ソ連諸国を中心にユーザーが多く、中東地域ではトップシェアである国もある。(下記画像の黄色部分)

国別メッセージングアプリのトップシェア
出典:Inc., “The Top 7 Messenger Apps in the World”

非営利組織として運営されているのが特徴で、独自の暗号システムによる強固なセキュリティと秘匿性を売りとしている。(暗号化システムの安全性については批判意見も多い。)

月間アクティブユーザー(MAU)は2億人を超え、最近は香港と韓国でユーザーが急増している。(いずれの国も現時点で約170万人存在する。)抗議運動者が100以上のテレグラムループを使って情報をやり取りをしているようだ。

筆者も仮想通貨バブルの時に草コインを漁っていた時は怪しいテレグラムグループも顔を出していたし、今もテック系のコミュニティには入っている。

中東のテロ組織が資金集めのために利用されるケースも問題となったが、逆に言えばそれほど通信の機密性において信頼が置かれているということだ。

それはさておき、増える香港ユーザーのためにテレグラムは、電話番号によるユーザー検索を不許可にする機能の実装を急いでいるようだ。

LINEなどでもそうだが、連絡帳にメールアドレスなどの情報が入っていれば、ユーザーを検索する機能は珍しくない。

ロイター通信によると、中国や香港当局が大量の電話番号をアップロードすることで電話番号とアカウントを紐付けて運動員を探す悪用が行われたと主張する運動員がおり、テレグラムの対応はこれを受けたものである。

無関係な大多数のユーザーにとっては今回のアップデート(近日中)が利便性を損なうという指摘もあるが、テレグラムの理念からすれば本領発揮と言えそうだ。

参考文献:Reuters, “Exclusive: Messaging app Telegram moves to protect identity of Hong Kong protesters”, 31 Aug 2019

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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