中国がレアアースの輸出規制を武器にする可能性

中国の習近平国家主席がレアアース関連施設を訪問したことで、米国によるファーウェイへの制裁の報復としてレアアースの輸出規制を行うのではないかという憶測が広まっている。

参考:ブルームバーグ「中国の習主席、レアアース関連施設を視察-対米交渉に利用との観測」2019年5月21日

中国はレアアースの世界生産の95%を占め、米国はレアアース需要の約80%を中国からの輸入に依存している。

習主席は、こうした企業訪問は定期的に行っているが、今回の訪問が「報復検討のメッセージ」として解釈されているのは、通常行われる査察についてのコメント発表を注視したことにあると、シンガポールのラジャラトナム国際関係学院のLi Mingjiang氏は述べている。

一方でLi氏は、輸出禁止によって米国が輸入の代替先を探し、結果的に中国が自分の首を締めることになりかねないという危惧もしているという。

米国地質研究所によると、レアアースは中国で4,400万トン、ブラジルで2,200万トン、ロシアで1,800万トンなど、中国以外にも多くの埋蔵量が存在する。

しかし、レアメタルの供給面の問題は、埋蔵量よりも「技術制約」と「環境制約」が大きなネックとなっている東京大学生産技術研究所教授である岡部徹氏は指摘している。

多くの場合は採掘と精製コストがかかり、しかも採掘時に有毒ガスが発生してしまうので、多くの場合は環境基準を満たし、かつ、採算が取れるラインで採掘することが難しいわけだ。ましてや海底のレアメタルなら尚更である。

そういうわけで、中国としては明確なメッセージを出さずに報復を匂わせることで、米国の出方を見ようというのが今回の報道の解釈である。

参考文献

Channel NewsAsia, “Fears rise China could weaponise rare earths in US tech war”, 22 May 2019

日刊産業新聞「レアメタル供給の本質的問題」2015年2月16日

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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