中国の一帯一路は東インド会社のやり口と似ている

中国が進める一帯一路の弊害を受けている国が増えていることで、反発する国が多くなっている。無茶な貸付を行って港湾などのインフラ投資を行い、返済できなかった場合に99年借款などで実質的に支配下に収めてしまうというやり方である。

先日も日本で行われた第7回アフリカ開発会議(TICAD7)でも、中国が発展途上国を「債務の罠」に嵌めているということについて議論が行われた。

参考:時事ドットコム「アフリカ支援、日本苦戦=巨額の中国資金前に-「量」より「質」アピール」2019年8月30日

表題の「一帯一路は東インド会社のやり口と似ている」という事について、元モルディブ大統領モハメド・ナシードがインド洋会議で演説している。

中国は東インド会社がやってきた以上に多くの土地を手に入れた:元モルディブ大統領

  • 過去5年間にモルディブに来た投資プロジェクトの殆どが中国輸出入銀行からの資金で行われている
  • 「政府を掌握し、議会の買収し、法律を変更し、求めもしていない契約を結び、事業計画が失敗するように契約金額を吊り上げる」
  • やり口が嘗ての東インド会社と似ており、東インド会社以上に多くの土地を手に入れている
  • モルディブは多くの外国投資を望んでいるが、特に中国の場合は入札プロセスの透明性を担保するために、民主的な監視が必要

補足

中国の「一帯一路」が東インド会社が取っていた方法と似ていると言われる点は次の2つである。

  • 役人や政治家を高額な金額で買収
  • 無理な資金計画でインフラ開発を行って返済できない場合に取り上げる

前者はいわゆる汚職であるが、プロジェクトや入札に関わる重要人物を億単位の金額で買収することで、インフラ開発に関われるようにするというものだ。億単位の賄賂と言っても、その後に100億円1,000億円単位のプロジェクトに投資できると思えば安いものである、という考え方だ。

後者は冒頭でも述べた方法であり、この2点についてナシード氏は演説で痛烈に中国を批判している。

一帯一路と東インド会社の類似性については、以前からトランプ政権の元首席戦略官兼上級顧問であるスティーブン・バノン氏が何度も指摘している。

ちょうど1年前くらいにはガーディアン紙のインタビューで

(中国は)「東インド会社のように」太平洋やサハラ以南のアフリカなど、世界の部分部分を経済的に植民地化している。(注:筆者訳)

The Guardian

と指摘しているし、今年3月に日本で自民党本部で講演した際も、中国の一帯一路について、

かつて英国の東インド会社がしていた略奪的な商売方法だ。相手を借金漬けにして返済できなくさせ、資産を押収する

日本経済新聞

と述べている。

一帯一路の最も酷い例としては昨年、スリランカの港の管理会社の株式70%が最終的に中国に99年間譲渡することに合意されたことである。

参考:産経新聞「スリランカの港に中国旗 99年間譲渡「一帯一路」債務重く“借金のカタ”に奪われる」2018年1月15日

よく指摘されることであるが、中国にとって99年は「永久」を意味する。香港返還について英国とあれだけ揉め、香港の人が衝撃を受けたのも、中国にとっての「99年借款」は文字通り99年を意味しないからである。

参考:ビーカイブ「中国で99年は永遠の意味?」 2015年3月21日

参考文献

[1]The Indian Express, “China has grabbed more land than East India Company had ever done: Ex-Maldives Prez”, 4 Sep 2019

[2]The Guardian, “Steve Bannon: Australia is on ‘frontlines’ of economic war with China”, 3 Sep 2018

[3]日本経済新聞「バノン氏「中国の拡張、日米で歯止め」 自民部会で講演」2019年3月8日

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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