新型コロナウイルスの抑え込みの完全な失敗により、トランプ大統領の支持率は下がっており、11月の大統領選ではバイデンの勝利を見込む予想が相変わらず強い。しかし、それほど盤石な状況でもない。
ブックメーカーのオッズ(2020年8月18日時点)を見る限りは、バイデンのオッズは各社ともに1を切っている状態で、トランプのオッズが1をやや上回る状態で、多くの人の予想はバイデン有利の状況だ。
一方で、先日ギャラップ社が行った世論調査では、トランプ大統領の支持率は回復傾向にある。6月末には38%まで落ちた支持率も、最新の8月12時点で42%にまで上昇している。
これは米国民の関心が新型コロナウイルスから、経済に戻りつつあるからである。下図のように、トランプ大統領の支持に関する主要な関心事は、一時は新型コロナウイルスが60%に達していたが、今は36%にまで下落しており、経済が横ばいになってきている。
新型コロナウイルスの抑え込みの失敗で経済に大打撃を受けたのが支持率下落の最大の要因と考えれば、結局は経済次第ということになる。そして数々の経済対策や、経済活動再開に伴う株価の上昇などで再び支持率が回復傾向にあるということだ。
一方でBLMとかで話題になったが、人種関係だと37%であり、現在の新型コロナウイルスの重要度と同程度であり、キーイシューではないということが分かる。
バイデン氏はバイデン氏で、黒人コミュニティの多様性が欠如するように受け止められる発言や、認知症疑惑など勢いを落とす要因が増えてきた。年齢の問題については「もしもの場合は」カマラ・ハリス氏が引き継ぐという形の戦略を採っているが、「そういう問題なのか」と考える米国民も少なくない。
レムデシビルなど抗ウイルス薬の効果や、ワクチン開発期待など、新型コロナウイルスへの関心が薄れつつある中、トランプがどれだけ善戦できるかは経済回復にかかっており、そういう意味では世論調査ほどバイデンは盤石でないことが分かる。