新型コロナウイルスのニュースを避ける人々

毎日新型コロナウイルスのニュースでうんざりという人は少なくないだろう。投資家としても当サイトの運営者としても世界中の通信社やニュースサイト、ウェブメディアを追っている筆者とて、新型コロナウイルスについてのニュースが重要というのは認識しつつも、ここ数ヶ月の「ニュースの多様性の低さ」には辟易している。

ロイター研究所は、5月7~13日にかけて英国人に対して調査を行い、人々がCOVID-19についてのニュースを回避する傾向が増えている状況を明らかにした。

以下は、新型コロナウイルスに関するニュースを「常に又は頻繁に避けている」と回答した人の割合である。4月10-14日の15%から、5月7-13日には22%にまで増えている。これだけ見ると少数派に見えるかもしれないが、「時々避けている」という回答を含めると49%、58%、59%と半数を超えており、程度の差はあれニュースを回避しようとする傾向が伺える。

属性別では、収入や学歴、政治的傾向などによって若干の違いはあるが、どの階層でもある程度ニュースを避ける傾向があることが分かっている。

それでも年齢と性別によってやや差がある。まず、25歳未満と45歳以上の成人の19%が新型コロナウイルスのニュースを強く回避する傾向があるのに対し、25~44歳の成人は28%が強く回避する。また、男性の18%が強く回避するのに対し、女性は26%とやや高い。これらの背景には、子育て世代や育児を行っている人が特に回避している傾向があるからではないかと思われる。

新型コロナウイルスに関するニュースを常に又は頻繁に避けると回答とした人が回避する理由が以下のグラフである。その66%が「気分への悪影響」を挙げており、やはり心理的な影響が強いことが伺える。また、「ニュースが多すぎる」「ニュースを信用していない」「情報を得たところで自分にできることは無い」といった回答も3割ほど存在する。

また、どういった媒体のニュースを特に回避するかについては、テレビ(78%)、ニュースサイト・アプリ(55%)、ソーシャルメディア(49%)、新聞や雑誌のような紙媒体(48%)が上位である。テレビのニュースがひたすら新型コロナウイルス関連しかやっていないのは英国でも同じであり、うんざりという人は少なくない。

一方で、新型コロナウイルスのニュースを避けていれば、他の偶発的なニュースを見逃してしまう可能性は否定できない。こうした新型コロナウイルス以外のニュースを見逃してしまう心配をしていない割合は、全体で39%なのに対し、新型コロナウイルスのニュースを回避する人は59%であった。他の情報を見逃してしまうリスクに対する楽観性があるという傾向は面白い。

参考文献:Reuters Institute, “Initial surge in news use around coronavirus in the UK has been followed by significant increase in news avoidance”, 19 May 2020

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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