環太平洋パートナーシップ協定(TPP)や欧州・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)、将来的には東アジア地域包括的経済連携(RCEP)など、ベトナムが輸出を拡大するための取り組みが拡大している。その中でベトナム繊維アパレル協会(VITAS)のVu Duc Giang会長は、衣料品セクターが2025年まで年平均成長率6%を達成する為に新たな市場に着目するとVNAの取材に答えた。
衣料品セクターは潜在市場に着目(Vietnam+)
- 第2四半期に新型コロナウイルスがコントロール下にあっても、年間セクター成長率は5%を下回る可能性
- パンデミックがデジタル・トランスフォーメーション(DX)やマスクの生産機会、国際サプライチェーン基準を満たす繊維製造や無水染色の投資を拡大
- VITASは首相に2035年までの繊維・衣類開発戦略の迅速な承認を求める提案
- 濃縮水処理技術を使用した繊維工業地帯の計画、ベトナム人がベトナム製品を使用するためのキャンペーンについても言及
補足
ベトナム統計総局によれば、2020年1~4月は新型コロナウイルスによる世界的な需要低迷でも輸出を伸ばしたが、繊維産業は前年同期比11.5%減と軟調であった。記事の通り、マスクの生産などで減少が最低限に抑えられたという側面はあるが、輸出拡大で堅調だったベトナムの同セクターにとっては大きな打撃であった。
それに対応するための2つの方向性が記事では述べられている。一つは国際サプライチェーン基準を満たす無水染色の拡大だ。排水を減らすことで環境負荷が少ない繊維産業の構築を目指すという近年のESGなどの流れに則った動きである。
そして、ベトナムの国内消費自体を増やすという方向性である。ベトナムは大手アパレルメーカーの原料や製品の製造が多かったが、近年は国内ブランド確立の動きが進んでいる。その流れを受けたものと言える。
参考文献
[1]Vietnam+, “Garment sector focuses on potential markets”, 10 May 2020