要約
- マレーシアのIftitah社のPork Meat Testは食品中の豚タンパク質を検出する簡易キット
- あくまでも化学面で効果が認められるだけでハラールか否かの判断はできない
- 海外滞在時など止むを得ず不確かな状況で食事を取らねばならない場合に特に有効
Iftitah社は「当社の豚DNAテスターでハラールかハラームかを判断しないように」と声明(Free Malaysia Today)
- マレーシアのIftitah社のPork Meat Testは食品中の豚タンパク質を検出するための簡易キット
- マレーシアイスラム開発局(Jakim)は化学面における有効性は認めている
- あくまでも疑わしい食品の「スクリーニング」のための用途
解説
Iftitah Solutions社のブランドrapid testから出たPork Meat Testは当初、「10分以内に食品中の豚DNAを検出できる」という内容で報道されたが故に、あたかもそれでハラールかノンハラール(ハラーム)かを判断できるかのような誤解を与えるとして、ハラールの公認機関であるマレーシアイスラム開発局Jakimの調査結果の発表が待たれていた。
Jakimは「化学面からのみにおいて結果が認められる」と発表し、Iftitah社は翌日に「ハラールかハラームを判断するのではなく、豚タンパク質の抗原を低コストで検出できるもの」という声明を発表しており、DNA検出の点を否定している。
紙ベースでできた検査キットである同製品は、高価な機器を利用したDNA検査と比較して迅速かつ安価(2本で31.5RM<約850円>)で測定できる点で、「海外旅行者にも役立つ可能性もある」と同社は指摘している。
ハラールか否かというのは「豚肉や犬肉ではない」という点だけでなく、「適切に処置されている(病死した家畜ではない等)」など沢山の要件が存在し、キットだけで判断ができないというのが記事のポイントである。
イスラム教徒(ムスリム)が多数派ではない国においてはハラールか否かを記載していない事の方が多く、旅行者にとっては判別が難しい。とは言え、「分からないからと言って食べない」わけにもいかないので、何らかの判断基準で食品を摂取しなければならない(少なくともコーランの記述だけに沿えば、止むを得ない場合は許される)ので、こういった簡易キットは有用なのだろう。
今後イスラム教徒の人口が増えていく過程で、それに合わせて日本でもハラール認証を受けようといった動きは一部の企業で見られるが、こういった違った切り口からのビジネスも非常に面白い。
参考文献
Free Malaysia Today, “Our pork DNA tester not to determine halal or non-halal, says firm”