中国の信用リスクは高い状態が続いており、債券市場のデフォルトは今後も進むと見られているが、ブルームバーグによると、貿易戦争の激化にも関わらず、初回の債務不履行の数は減少する兆しがあるという。
以下は、中国における初回の債務不履行企業数の推移である。景気後退懸念が強かった2018Q4をピークとして2019Q1は減少し、そのままQ2は更に減少する見込みで、その減少幅は大きい。
中国は、県域レベルの農村商業銀行の預金準備率を引き下げるなど、中小企業の資金繰りを改善させるための策を行っている。
参考:NNA ASIA「農村商銀の預金準備率、3段階で引き下げ」2019年5月23日
中国は信用リスクの緩和も図っており、また上場企業も流動性を改善するために現金保有率を高めている。以下は中国の上場企業の流動比率の推移である。
今後も中国は減税やインフラ投資など貿易戦争による悪影響を緩和するための策も並行すると見られており、中国の危ない綱渡りはまだ続くと思われる。
参考文献:Bloomberg, “Surprise Consequence of Trade War Is Likely Fewer Defaults in China”, 23 May 2019