日本ではタイのパタヤを拠点とする振り込め詐欺グループの摘発が話題になったが、振り込め詐欺は何も日本だけではなく、世界中で問題となっている。英語では 一般的にはphone fraudと言い、特に今回のケースのような「なりすまし詐欺」だとtelephone impersonation fraudと表現される。
特に金額の桁が多いのが米国人をターゲットとするものだ。今回米国に引き渡されたのは、2012年1月~2016年10月までの間、「最も成功した振り込め詐欺計画」の犯人の一人Hitesh Madhubhai Patel氏である。(引き渡されたのは2019年4月20日である。)
Patel氏は2018年9月にシンガポール当局によって逮捕されており、振り込め詐欺および大規模マネーロンダリングの疑いによる裁判のために米国に引き渡し要求を受けていた。既にPatel氏の共犯者24人が最大で20年の禁錮刑の判決を受けている。
このグローバル振り込め詐欺によって米国人は少なくとも3億ドルの被害に遭っていると推定されており、その人員として選ばれたのがインド人である。
インドでは英語を話せる人が多いだけでなく、当サイトでもインド総選挙に関して散々述べているように失業率が大きな問題となっている。この事件では大規模コールセンターが運営され、多くの人間が雇われていた。
普通のコールセンターと思って就職した人も多かった。勿論、中に入れば実態が分かるわけだが、成功報酬と就職難を理由に続けていた人も多いという。
手口としては日本で有名な手法と大して変わらず、多くの場合は役所の人間を騙り、追徴課税を払わせようとするケースが多いようだ。支払い方法がiTunesギフトカードを使う事が多い点で気付かないのかと思ってしまうが、数が多ければ引っ掛かる人が一定の割合でいるということである。
ターゲットとしては日本と同様に高齢者だけでなく、米国に移住してきたばかりでよく分かっていない移民も狙われやすいという。
こういう意味では日本語という言語障壁は、こうしたグローバル犯罪からの標的から外れているという意味で幸福なのだろう。(それでも日本語ネイティブから日本語ネイティブへの振り込め詐欺は後を絶たないが。)
参考文献
REUTERS「アングル:米国で被害拡大、インド発「振り込め詐欺」の手口」2016年12月3日