随分前から航空会社のオンラインサイトは、自社の航空券を販売するだけでなく、現地でのレンタカーやホテルなど付随するサービスを販売する所が増えている。エアアジア(AirAsia)が今回発表した構想は、有りそうで無かった(前例があれば教えて頂きたい)、しかし合理的な取組みと言えよう。
エアアジアの計画は簡単に言えば「他の航空会社のチケットのうち、エアアジアと競合しないものをairasia.comで販売する」というものである。
Pacific Asia Travel Association (PATA)によると、airasia.comには毎月6,500万人のユニークユーザーがあり、エアアジアは5,000万人ものリピーターのデータを持っているという。
この膨大な情報は旅行代理店にとっても喉から手が出るほど有益であり、エアアジアはデータを利用した顧客分析と需要予測アルゴリズムを通して、 他社のチケット販売を計画している。
販売するのは、例えばエアアジアが得意としない東南アジアからヨーロッパへの直行便のチケット販売である。エアアジアは過去にパリへの直行便を運行していたが、採算が取れず失敗している。エアアジアXではロンドンや、今後はプラハなどへの就航を計画しているが、エアアジア本体は2017年にもヨーロッパ再進出を断念している。
他にも、東南アジア内で乗継便として使えるような他社のチケットを販売することで、エアアジアにとっても収益が増え、他社にとってもデータを利用した販売増が見込めるという計画だ。
マレーシアの大手銀行MayBankのアナリストMohshin Aziz氏は、多くの航空会社は自社サイトでの販売に苦労しており、エアアジアのプラットフォームに乗っかることは有益であるという見方を示している。
複数の航空会社やホテルなどを横断的に購入できるようなオンラインプラットフォームは既に多く存在するが、エアアジアなど大きなサイトにとっては手数料の分だけ収益性を損ねる。エアアジアにとっては自社サイトで買ってくれる十分なユーザー数がいるので、データ量の強みを活かせば、他の航空会社もエアアジアのプラットフォームを利用する可能性はあるだろう。