シンガポールで住宅補助金の対象年齢引き下げ

ストレーツタイムズなどによると、国際結婚をしているシンガポール人がシンガポールで住宅購入する際の住宅補助金の対象年齢が10月26日から引き下げられた。

追加住宅補助金の対象年齢が引き下げ(The Straits Times)

  • 外国人と結婚している21歳以上のシンガポール人は、初めて中古のフラットタイプ住宅を購入する際に最大40,000シンガポールドルの住宅補助金を受けられるようになった(以前は35歳以上)
  • 先月発表されたCPF(中央積立基金)住宅補助金(EHG)によるもので、古い制度であるAHGやSHGを合理化するもの
  • 所得上限規制も高くなり、住宅の大きさや場所の制限も無くなった
  • 調査会社ERA Realtyのニコラス・マク氏によると、HDB(住宅開発庁)住宅の再販市場の需要が増加する可能性があるが、相場が大きく変動する可能性は低い

解説

シンガポールは国土が狭いだけあって狭小住宅が多く、その値段も高い。それ故に国民の80%はHDBと呼ばれる公団住宅に住んでおり、政府の積極的な持ち家推進策により、その9割以上が持ち家となっている。(日本貿易振興機構)

記事に出てくるフラットタイプ住宅は、いわゆる普通のアパートだと考えて良い。集合住宅の内部に階段があって居住部分が2階以上あるものをメゾネットと呼ぶのに対応する表現である。

自治体国際化協会シンガポール事務所によると、HDB住宅を購入する場合、強制的な積立制度であるCPF(中央積立基金)に収入の一定額を毎月積み立てることで行われる。

そこからの住宅補助金制度の改正が発表されたのが先月9月で、つい先日から実際に対象年齢が引き下げられた。

国際結婚が珍しくないシンガポールでは、配偶者が外国人であるケースも多い。35歳以上から21歳以上に引き下げるというのはかなり思い切った制度変更である。40,000シンガポールドル(約320万円)という金額も大きい。

HDB住宅は再販市場も活況である。特に市場を活況とさせている背景には、1986年以前に建てられたHDB住宅のリフォーム費用を政府が87.5~95%負担するという住宅改修プログラム(HIP)もある。

新制度は好評であり、ストレーツタイムズによると、新制度への申請が可能となった10月のHDB申請2,300件のうち、初回購入者は1,110件であり、このうち約半数が新制度の対象である。2018年の月平均が160件であることから考えれば3倍以上に増えていることになる。

それでも102万件あると言われるシンガポールのHDB住宅の中では僅かな差であり、その意味では記事に出てくる通り相場への影響は限定的かもしれない。

一方で香港の影響により、事業拠点を香港からシンガポールに移転する動きも増えており、移住者も増えている。その中での新制度なので市場活況の一因になる可能性はあると考えられる。

参考文献[1]:The Straits Times, “Age criterion lowered for enhanced housing grant”, 30 Oct 2019

参考文献[2]:日本貿易振興機構「シンガポールスタイル」2019年1月

参考文献[3]:自治体国際化協会シンガポール事務所「シンガポールにおける住宅事情」2016年10月28日

参考文献[4]:Housing Development Board, “Home Improvement Programme (HIP)”

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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