投資に限らず専門的な事を調べたり研究したりする上で本を読まなければならない機会は多い。特に筆者は本好きなので、金融や人工知能関連に限らず、生物学でも社会学でも人類学でも、分野を問わず多く読む。
この時に問題になるのが「どの本をどれくらい読むか」である。お金を湯水の如く使える人であれば片っ端から買っていくのも良いだろうが、多くの人はそうではなく、そして例えお金があっても読む時間に制約があるので、取捨選択をしなければならない。
専門書だと1冊5,000円を超えるような本も珍しくないが、仕事で読まざるを得ないものは別にして、未知の分野について学習する時にいきなりそうした本を沢山購入すると「全て読まなければ勿体ない」と思ってしまいがちだ。
読後に転売するのでない限り、書籍の購入費用はサンクコストであり、必要な部分だけを読めば良いのは分かっているが、高い本を購入するとなかなかそう思えないのが人間の心理である。
そういう時は思い切って古い専門書を探すべきである。プレミアがつく専門書もあるが、多くは時間が経つと中古市場で殆ど値がつかなくなるので300円とか500円とかで流通しているケースは珍しくない。
分野によるが、5年10年くらい経っても十分に読むに値する専門書はいくらでも存在する。未知の分野について調べる時、筆者はまず中古市場で該当分野の書籍で重要そうなもの面白そうなものを数冊購入する。そうすると、せいぜい2,000円程度である。
1冊の値段が300円とか500円とかだと全部読まなくても良いと思いやすい。学問は既存の研究成果の積み重ねなので、先行研究を整理している部分などは複数の書籍で内容が重複している事も珍しくない。寧ろ新規的な内容は全体の5~10%あれば十分である。
最初は知らない内容が多いので全体を読む必要があろうが、少しずつ知識が増えてくると新規性のある部分だけ、必要な部分だけ読むことができるようになってくる。そうすると、仮に全体の10%しか読んでいなくても、出した金額が1冊数百円ならお買い得だと思えるようになるし、予算制約の範囲で効率的に必要だと思える部分を読み進めることができる。
特に複数の著者が書いている専門書だと、必要な章だけ読めば良い。一部でも読んで得られるものがあれば儲け物である。いきなり最新の教科書を購入するよりも、少し古い本を数冊購入し、必要な部分だけ読み進めていった方が、予算・時間・リターン(知識)のバランスを取りやすい。