ポストコロナのオンラインBtoB営業

“ENTREPRENEUR LEADERSHIP NETWORK VIP”の創設者ブライアン・ヤネツコ氏が、コロナ不況におけるB2Bビジネスの新規顧客開拓についての記事を投稿している。基本的には「InstagramやZoomなどオンラインサービスを有効活用する」「有望な潜在顧客(試用版ユーザー)を可能な限り早く獲得する」「大きなネットワークを持つ営業担当者を活用する」など当然のことを指摘しているが、その中で触れられている重要な事実を紹介したい。

参考文献:Entrepreneur, “Pick up the Slack to Help Businesses Bounce Back: 4 Tips For Launching a B2B Company in a Downturn”, 14 Sep 2020

FailosophyのCEOであるガーベ・ズィヒャーマン氏は、「販売サイクルが3ヶ月かかると見積もったなら、2倍の6ヶ月を想定する必要がある」と指摘している。販売サイクルとは「見込み客の発見から成約までの期間」の事を指すが、販売サイクルは創業者が最初に想定するよりも長いことが殆どで、景気後退期は更に長くなるという。

当然景気後退期は、どの企業も新規投資を渋る傾向が出てくるので、営業活動が成功しづらくなるのは当然である。ましてや新規サービスに対しては尚更である。予想の2倍を想定するというのは販売サイクルに限らず多くの分野で使われるだろう。例えばシステム開発の見積もりについても、想定される工数の2倍を見積もりとして出すくらいで丁度よいバッファである。

一方で、私が思うにオンライン営業マンは従来の営業マンとは異なるノウハウが必要になろうが、それとは別に「営業そのものの縮小」という方向も考えられる。営業の世界では「商品を売る」のではなく「人を売る」とよく言われる。これは同業他社で類似製品が多くある中で、顧客は最終的に自社商品を買ってもらうには、人と人と信頼関係を結んで「その人から買う」というような意味合いである。

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しかし、オンラインだけで信頼関係を結ぶのは対面よりも難しかろう。そういう時代も来るのかもしれないが、現時点では「対面でないと信頼関係を結べない」と考える人は多いはずだ。また、私のように、営業電話がかかってきたら「どのタイミングで<間に合ってます>と言おうか」としか考えない人も少なくない。

友人にオススメの楽曲を勧めてもらうことも当然あろうが、Spotifyのレコメンドシステムの方が良いという人もいるはずだ。保険の営業マンから買うよりも、自分で比較サイトなどを使って保険を比較するという人も多いはずだ。

今までは「対面営業」に加えて「オンラインでの販促」という時代であれば、営業マンから買いたい人とそうでない人との棲み分けが巧くできていたが、営業活動全体がオンラインシフトするとなれば、比較サイトやAIとまともに勝負することになる。

そうすると、今後ますます営業活動において爆発的に「人を介さないサービス」が増えてくるはずだ。それはBtoBでも同じはずである。寧ろ、今まではこの種の「営業活動の省略」はBtoCでの展開が多かった。逆に言えば、BtoBでの展開は一つのチャンスであろう。

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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