リモートワークで会議の生産性が落ちた話

新型コロナウイルスによる感染防止対策として、筆者が現在関わる案件でもリモートワークが一部導入され、会議でZoomやSkypeが利用されるケースが増えた。筆者は個人で仕事を取っており、元々メールやSkypeでの交渉・打ち合わせが多かったが、大企業案件でも非対面の会議が増えたという状況だ。セキュリティ的にも何かと話題のZoomの割合が増えたのも特徴だ。

会議の為にいちいち出掛けなくて良いというのは素晴らしいことであるが、残念ながら会議の生産性が上がったとは言えず、筆者が関わる案件では寧ろ下がっている。それは、普段会議に参加しない人が参加したがるようになったからである。

従来であれば少人数で会議を行い、その決定事項は議事録なりメールなりで記録に残し、会議に出席しない担当者はそれを読むだけである。しかし、Zoomを用いてどこからでも会議に参加できるようになった事で、普段は議事録を読むだけの担当者が「折角だから私も参加する」と言って参加してくるケースが増えたのである。

何が折角なのかが分からないが、普段会議に出ない人がオンライン会議に出てくると次の理由で生産性が大幅に低下する。

  1. Zoomの使い方の説明に時間が取られる
  2. 単純に人数が増えると会議時間が伸びる
  3. 前提知識の乖離を埋めるための説明時間が増える

Zoomの設定項目は非常に多く、単純にビデオ通話をするだけならいざ知らず、ブレイクアウトセッションやギャラリービュー、チャットの保存など各機能を使おうと思えば慣れが必要である。当然、折角だから参加してきた人が使い方に精通しているケースは少なく、1のようにその説明だけで時間が奪われる。

そして2のように、単純に人数が増えると会議時間が伸びる。話す人が増えるから当然ではあるが、それだけでなく参加者の通信環境が悪化するなどすれば、再度内容を繰り返すことが増え、会議が長期化する確率が高くなる。

最も時間を長引かせる要因は3である。普段会議に参加している人同士であれば、議事録に残すまでもない共有事項など前提知識を多く持っている。しかし、普段議事録を読むだけの人はそういう共有事項を持っていないのであり、会議を進める上でそうした前提知識を補足しなければならないケースが生じてくる。

本来、ビデオ会議で生産性を上げるには、余分な会議を減らし、必要な会議だけ円滑で行わなければならないはずである。会議に係る移動の削減だけがメリットになっていれば逆に生産性を下げかねない。

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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