要約
- アジア最大の格安航空会社IndiGoはパイロット不足により今後フライトのキャンセルが増える
- レガシーキャリアとローコストキャリアはパイロットの技術に大きな差があり人材が流れにくい構造がある
- LCCも自社育成を始めているが人材の確保には時間がかかると考えられる
パイロット不足の前ではアジア最大の格安航空会社IndiGoも為す術がありません(The Economic Times)
- パイロット不足により今後2ヶ月間、毎日何十ものフライトのキャンセルが見込まれる
- 少なくとも2月末まで毎日30便がキャンセルされる
- 会社の急成長に合わせ、2019年に62機、2020年3月までに更に40機の導入を予定
- インドは今後10年間で17,000人、アジアは今後20年間で25万人の新しいパイロットが必要になると見込まれる
解説
2005年に設立して以来急成長し、インドの市場シェアの40%を占め、あれよあれよとAirAsia<5099:MK>の時価総額も抜き去り、アジア最大の格安航空会社(LCC: budget airline)となったIndiGo<INDIGO:IN>は、嘗てのAirAsiaと同様にパイロット不足による大量キャンセルをせざるを得ない状況に陥っている。
レガシーキャリアもローコストキャリア(LCC)も同様にパイロット不足が問題となっているが、給与の問題というよりかは、根本的に人材が足りないという問題が大きい。
LCCは人件費とサービスを抑えることでコストを大幅に抑えているが、その分パイロットの質は低い場合が多い。というのも、現在の旅客機は離着陸と緊急時以外は殆ど自動操縦が可能なので、LCCでは自動操縦頼りのパイロットが多く、給与が安いからと言ってあまりレガシーキャリアに人材が流れにくいという構造がある。
まともに高い技術を持つパイロットを育成しようとすれば長い時間がかかるので、それだけ人件費も高くなる。最近はパイロット不足の問題を解消するために、LCCも自社でのパイロット育成に取り組み始めている。例えばCAEによると、AirAsiaの訓練コースで22ヶ月、IndiGoの訓練コースで17ヶ月とそれなりに時間がかかる。その成果が出るまでに時間がかかるので、慢性的なパイロット不足は長く続くと考えられる。
参考文献
The Economic Times, “Pilot shortage is said to cripple Asia’s biggest budget airline IndiGo”