9月末にニューヨーク州サフォーク郡で可決されたヘリウム風船を屋外放出する法律について解説し、その流れが拡がっていく可能性を指摘したが、今度はマサチューセッツ州で「ヘリウム風船の販売禁止」を含む急進的な法案の審議が進んでいることが分かった。
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法案は今年1月に提出された「ヘリウム風船に関する法律」(An Act Relative to Helium Balloons)で、現在、州の合同委員会で審議されている。
法案は、プラスチック製・ラテックス製・マイラー製を問わず、公共目的・非公共目的を問わず、空気より軽いガスで充填されたあらゆる形態の風船の販売・流通・放出を禁じるものである。(但しヘリウム飛行船などは除く。)
違反者への罰則自体はサフォーク郡の州法に比べれば非常に軽く、罰金100ドルに過ぎないが、販売・流通過程の禁止を含むとなれば、かなりの実効性を伴うと考えられる。
実際、ニューヨーク・ポストによると、ニューヨーク州の場合は販売と流通が禁止されていないため、多くの人は法律を実際には守っていないことが指摘されている。マンハッタンのパーティシティのオーナーの証言によれば、顧客が定期的にヘリウム風船を200~300個購入していくようであり、店舗では「何に使うのか」ということは聞かず黙認状態であるという。
マサチューセッツ州の法案の場合、販売・流通を禁止するため可決されれば実質的な影響はかなり大きくなると考えられる。
実際、米国ではパーティーグッズといえば風船と言っても過言ではなく、パレードのような公的なイベントだけでなく、私的な行事でも、結婚式だけでなく、卒業式でも葬式でも誕生日でも非常に多くのイベントでヘリウム風船が活躍する。
マサチューセッツ州のあるパーティーグッズ店のオーナーは、売上の20%以上が風船だと指摘しており、地元でもかなりの動揺を与えているようである。
法案が様々な州に拡がっている背景には、「環境」という大義名分があるからだ。動物が風船を誤飲してしまうリスクも当然あるが、安定供給が難しいヘリウム資源という側面で見た時も、風船で飛ばしてしまうと回収が困難になるという現状がある。
参考文献[2]:New York Post, “State pols want to ban helium-filled balloon releases”, 20 Oct 2019
参考文献[3]:Boston 25 News, “Proposed bill targets potential ban of helium balloons in Mass.”, 23 Oct 2019