世界水準の高品質のブロードバンドインターネットサービスを手頃な価格で提供するための「アクセス価格必須基準」(MSAP : Mandatory Standard on Access Pricing)が2018年6月に施行された。
それから1年が経ったが、マレーシアの価格比較サイトiMoneyの調査によると、6人に1人のマレーシア人がブロードバンドインターネット料金を「払いすぎている」ということが明らかになった。
MSAPは、マレーシア政府の意向に合わせてマレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC) が策定したブロードバンドパッケージの品質別の通信料金の基準であり、マレーシア大手通信会社である Telekom Malaysia(TM)、Maxis、Celcom、TimeはASAPの施行前後で以下のように金額が変化した。(1RM=26.15円:2019年6月29日)
Timeを除けば30Mbpsや40Mbpsと通信品質が良くないが、金額的には日本などと同水準になってきているように思える。一般的な傾向としてはマレーシアの通信速度は日本より遅く、以前に紹介したGlobal Digital Report 2019でも固定回線の平均速度は、日本で91.9Mbpsであるのに対し、マレーシアは63.5Mbpsであり、30Mbpsや40Mbpsの契約も多いことが分かる。
関連記事:Global Digital Report 2019から世界のインターネット動向を読む
そして先日発表された iMoney 2019 Broadband Surveyでは、回答者の17%が30Mbpsで月額約RM200も支払っていることが明らかになっている。
現在は大手4社ともにMSAPを遵守した金額のパッケージした提供していない。それにも関わらず、これだけの割合がMSAPを適用しない金額で契約していることについてiMoneyは、 最近のブロードバンドインターネットの価格についての動向を知らないユーザーが、以前の契約をそのまま維持しているという実態があるのではないかと分析している。
一部の小規模な通信会社はMSAPを満たさない高額なサービスを提供している場合もあるようだが、いわゆる「ぼったくられているユーザー」が一定数存在することになり、ITリテラシーなど根深い問題は多く見えてくる。
参考文献
Star Online, “Cheaper broadband prices following implementation of MSAP, says MCMC”, 7 Oct 2018