先日、インドの国家統計局(NSO)が定期労働力調査の結果を発表した。The Times of India紙の分析によると、長期的な傾向として全体的に失業率が上がり、かつ、高学歴ほど失業率が高いという実態が見られる。
下図は、農村男性(左上:Rural Male)・農村女性(右上:Rural Female)・都市男性(左下:Urban Male)・都市女性(Urban Female)について、学歴別の失業率の推移を見たものである。
学歴は以下の種別に分かれる。
- No education(無教育)
- Literate & Up to primary(読み書きができる&小学校卒まで)
- Middle(中学校卒)
- Secondary & above(高校卒以上)
2017-2018年の統計は失業率の調査方法が変わっているので単純な比較はできないが、失業率は上昇している傾向があり、高卒以上の学歴は明らかに高い傾向が見られる。また、女性の方がその傾向は顕著である。
但し、統計上の問題も影響している可能性も指摘される。例えば、教育と雇用についての調査研究は15歳から29歳を若年層としているが、都市部では15歳は若すぎて雇用の実態を把握するには不適切だという見方もある。
また、日本のように新卒一括採用が主流でもないので、大学卒業後の23~24歳では就職していないケースも多いので、その影響が出ている可能性も指摘されている。
しかし、こうした問題はありつつも、明らかに高学歴ほど失業率が高いとは言えそうであり、日本とは真逆の状況であることには驚きだ。
その解釈についての研究は進んでいないが、いくつか仮説は考えられる。例えば、
- 高学歴ほど職業を高望みする
- 学歴を活かして就職するにも職業カーストと合わずに就職できない
- IT人材などの質の低さから企業側がコストパフォマンスの低さから高学歴者を忌避する
などといった理由が考えられる。
参考文献:The Times of India, “It’s now official: Joblessness rises with education level”, 2 Jun 2019